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2025/12/01
企業の魅力を引き出すブランドコンセプトの作り方!具体例も紹介
コラム
ブランド戦略を実施している方の中には、「ブランドコンセプトを作るべきか悩んでいる」「どのように表現したら良いかわからない」という方も多いと思います。
ブランドコンセプトとは、ブランドが提供する価値や強みを表したものです。
適切なブランドコンセプトを打ち出すことは、他社との差別化や社内におけるインターナルブランディングの推進につながります。この記事では、ブランドコンセプトの重要性や作り方などを、具体的な事例を交えて解説します。
Contents
ブランドコンセプトとは「ブランドの価値を明文化したもの」
ブランドコンセプトとは、ブランドが提供する価値や強みを明文化したものです。多くの場合、ブランドコンセプトは短い言葉やフレーズとして表されます。また、表現したい概念や意味をビジュアル化してブランドコンセプトを表すこともあります。
有名企業のブランドコンセプト例としては、ディズニーランドの「夢と魔法の王国」が挙げられます。BtoB企業の株式会社Faber Companyでは、SEOツールのミエルカなどのサービスを「日本の職人技と先端テクノロジーの融合」というブランドコンセプトのもとで統合しました。

ここではイメージしやすいように大手企業のブランドコンセプトを紹介しましたが、中堅・中小企業でも顧客や社会のニーズに即した独自性のあるブランドコンセプトを作成することで、その効果を得ることが可能です。
ブランドコンセプトが重要な理由
ブランドコンセプトが重要な理由は、企業の方向性を明確にする点にあります。適切に作られたブランドコンセプトは、事業戦略やマーケティング活動に一貫性を持たせるための基盤となります。
また、顧客との信頼関係を深めることも、ブランドコンセプトが重要な理由です。ブランドコンセプトを通じてブランドの価値観を伝えることで、顧客との信頼関係を築き、リピートやファンを増やせます。
さらに、競争優位性を確立するためにも、ブランドコンセプトが重要です。ブランドコンセプトを打ち出すことで市場の競合他社との差別化を図り、選ばれるブランドへと成長できます。
ブランドコンセプトとブランディングの関係性
ブランディングとは、企業や製品が顧客や生活者に与えるイメージを意図的に形成し、育てていくための包括的な活動です。短期的な売上向上を目的とするマーケティングとは異なり、ブランディングは中長期的な視点で継続的に取り組む必要があります。
そして、そのブランディングの軸となるのがブランドコンセプトです。ブランドコンセプトを明確にすることで、自社の存在意義や提供価値が定まり、発信するメッセージやデザイン、体験などあらゆる活動の方向性が統一されます。これにより、自社の独自性を的確に表現し、競合他社との差別化が可能になります。
さらに、ブランドコンセプトが明確であるほど、従業員一人ひとりが自社への理解と共感を深められ、結果としてインターナルブランディング(インナーブランディング)の強化にもつながります。
ブランディングについては「ブランディングの意味とは?企業が行う目的や効果、手順を解説」、インナーブランディングについては「インナーブランディングとは?目的や企業の成功事例を紹介」で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
ブランドコンセプトと意味が混同されがちな言葉との違い
ブランドコンセプトと意味が混同されやすい言葉として、ブランドステートメントやブランドアイデンティティなどが挙げられます。ここでは、それぞれの言葉の意味を解説します。
また、ブランドコンセプトと関連性の高いブランドエクイティやタグラインの詳細については、以下の記事を参考にしてください。
◆ブランドエクイティとは?構成要素や高める手段、成功事例を解説
◆タグラインとは?キャッチコピーやスローガンとの違い、事例を解説
ブランドステートメント
ブランドステートメントとは、企業やブランドのミッションや大切にしている価値観などを言語化したものです。企業理念に近いものであり、ブランドがどのような考え方で社会と関わり、どんな価値を提供していくのかを表します。ブランドステートメントは、従業員の行動指針や顧客とのコミュニケーションの基盤となる大事な要素です。
ブランドアイデンティティ
ブランドアイデンティティは、ロゴやテーマカラー、製品デザインなどの視覚要素を通じてブランドの外観を形づくるものです。ブランドコンセプトが主に言葉を通じてメッセージを表現することに対して、ブランドアイデンティティは視覚的なイメージを通じて、生活者との関係構築に貢献します。
これらのほか、ブランドコンセプトと混同されやすい言葉として、ブランドパーソナリティも挙げられます。ブランドパーソナリティについては、「ブランドパーソナリティとは?効果や確立方法を解説」を参考にしてください。
ブランドコンセプトの作り方の手順
ブランドコンセプトを作る際は、自社の現状を把握した上で、ターゲット設定や価値の明確化などを行います。ここでは、ブランドコンセプトの作り方について、以下のステップに分けて解説します。

市場・競合分析を通じて自社の現状を把握する
まずは、自社の「志」を整理しましょう。具体的には、企業としてのありたい姿や、商品を通じて社会に提供したい価値、ビジネスを行う理由などを明確化します。
続いて、市場分析や競合分析を通じて、現在の自社のポジションを把握します。競合他社と比較した自社の強みや弱みも分析しておきましょう。
理想とするターゲットを設定する
次に、市場分析や競合分析の結果をふまえて、自社にとって理想のターゲットを設定します。自社の商品やサービスを誰に届けたいのかを具体的に表す「ペルソナ」を設定しましょう。
ブランドに強く共感してくれるメイン顧客、すなわち“ブランドパートナー”の理想像を明確に設定することが重要です。
ブランドが提供する価値を明確にする
ターゲットが明確になったら、自社のブランドがどのような価値を提供できるのかを整理します。提供する価値は、自社ならではの魅力や強みを活かした独自性があるものなど、他社と差別化できることが重要です。
ブランドストーリーを作成する
ブランドストーリーとは、ブランドの価値観や背景をユーザーに伝えるための物語を指します。これがあることで、顧客や生活者は納得感や共感を得られます。商品やサービスの開発から発売までの歴史、秘話、特徴などをもとに、ブランドストーリーを作成しましょう。

ブランドストーリーについての詳しい内容は、「共感を呼ぶブランドストーリー戦略!重要性や作り方を解説」をご覧ください。
ブランドコンセプトを言語化する
これまでの流れを踏まえて、生活者に端的に伝えられるようブランドコンセプトを言語化します。ブランドコンセプトが言語化できたら、自分たちの想いが反映できているか確認してください。初見の人に意見や感想を求めるなどして、必要に応じて修正していきましょう。
ブランドコンセプト作成時に意識すべきポイント
効果的なブランドコンセプトを作成する際に意識すべきポイントとして、以下の4つが挙げられます。
分かりやすく独自性がある
ブランドコンセプトでは、難しい言葉や専門用語を使うのではなく、見た人が分かりやすいシンプルな表現が適しています。その上で、自社のブランドならではの強みや価値が反映された独自性の高いブランドコンセプトを作ることがポイントです。
ユーザーや社会のニーズに対応している
作成段階でも考慮したように、ユーザーの潜在的なニーズに対応したブランドコンセプトであれば、より効果的にブランドの独自性や強みを主張することができます。ユーザー目線はもちろん、社会課題の解決につながるような視点も持ってブランドコンセプトを作成することで、より共感を得やすくなります。
共感できるストーリー性がある
ブランドコンセプトは、ブランドストーリーと共に訴求することで、伝えたい想いが伝わりやすくなります。
ブランドコンセプト自体は短い言葉で表されるため、その言葉が誕生した背景までは表現できません。ブランドストーリーを活用して裏側の話までできれば、ブランドに対する生活者の納得感や共感を得られます。
他の商品やサービスとの一貫性がある
複数の商品やサービスを扱っている場合、ブランドコンセプトとの一貫性を保つことが重要です。ブランドコンセプトが表す企業の目指す姿や理念に、他の商品やサービスとの一貫性があれば、生活者からの共感を得やすくなります。
商品のサイトやパッケージデザインなどのビジュアル面でも、統一感が重要です。

ブランドコンセプトについてよくある質問
ここでは、ブランドコンセプトについてよくある質問と、その回答を紹介します。
ブランドコンセプトを作る際に注意すべきポイントは何ですか?
ブランドコンセプトを作る際は、シンプルで分かりやすい表現を使うことが重要です。難しい専門用語などは避け、ターゲット顧客に一目で伝わるブランドコンセプトにする必要があります。
また、独自性を意識し、自社ならではの価値や強みをブランドコンセプトに反映することも、競合との差別化を図る上でのポイントです。さらに、ターゲット顧客のニーズに対応していることも重要です。顧客が求めている価値や社会的なニーズを考慮してブランドコンセプトを設計することで、ブランドに対する共感を得やすくなります。
これらのほか、ブランドストーリーとの一貫性も大事なポイントです。ブランドコンセプトで表現される内容と、ブランドの背景やストーリーが一致していることで、説得力が増します。
中堅・中小企業でもブランドコンセプトを作るべきですか?
中堅・中小企業でもブランドコンセプトを作るべきだといえます。ブランドコンセプトを作ると、従業員にも企業の目指す方向性を共有することが可能です。また、限られたリソースを最大限に活用するためにも、ブランドコンセプトの作成は中堅・中小企業にとって重要な取り組みです。
ブランドコンセプトを作成して自社の強みや独自性を表現しよう!
ブランドが提供する価値や強みを明文化したブランドコンセプトは、事業戦略やマーケティング活動に一貫性を持たせるために重要なものです。また、ブランドコンセプトを明確にすることは、顧客との信頼関係の構築や、インターナルブランディングにもつながります。
今回紹介した作り方やポイントをもとにブランドコンセプトを作成して、自社の強みや独自性を表現しましょう。
当社は、ブランディング、マーケティング、クリエイティブに加え、財務、法務・知財、人事・労務などの領域横断チームを基にクリエイティブコンサルティング事業を展開しています。
成長を支えるパートナーとして、ブランド戦略立案から皆様の「ありたい姿」の実現をサポートいたしますので、お気軽にお問い合わせください。