INSIGHTS
2025/11/06
ブランドロイヤルティが経営戦略の鍵!メリットや向上施策を解説
コラム

ブランドロイヤルティを高めるにはどうしたらよいか分からず、お悩みの方もいるのではないでしょうか。
ブランドロイヤルティとは、顧客がブランドに対して持つ忠誠心や執着心のことです。ブランドロイヤルティを高めることは、リピート率や顧客単価の向上だけでなく、従業員の帰属意識を高めることにもつながります。
この記事では、ブランドロイヤルティを高めるメリットや具体的な方法、ブランドロイヤルティを測定するための指標などを解説します。
Contents
企業に重要なブランドロイヤルティとは?
ブランドロイヤルティとは、顧客が特定のブランドに対して抱く忠誠心や愛着心のことを指します。これは、ブランドが持つ資産価値である「ブランドエクイティ(Brand Equity)」を構成する重要な要素の一つとされています。
ブランドロイヤルティが高い顧客は、そのブランドの商品やサービスを継続的に購入する傾向があり、口コミでの発信や家族・友人への推薦といった形でブランドの拡散にも貢献します。そのため、企業にとっては安定した売上や高いリピート率を実現するうえで欠かせない要素です。

さらに、ブランドロイヤルティは社内にも良い影響を与えます。従業員が自社ブランドに誇りや愛着を持つことで、帰属意識が高まり、組織全体の一体感を生み出すことができます。
このように、ブランドロイヤルティを高めることは、外部へのブランド発信だけでなく、従業員の意識を高める「インターナルブランディング(インナーブランディング)」にもつながります。
ブランドエクイティについては「ブランドエクイティとは?構成要素や高める手段、成功事例を解説」、インターナルブランディングについては「インナーブランディングとは?目的や企業の成功事例を紹介」で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
ブランドロイヤルティと似た意味を持つ言葉との違い
ブランドロイヤルティと関連性の高い言葉として、顧客満足度やブランドエクイティが挙げられます。言葉の意味と、ブランドロイヤルティとの違いを解説します。
顧客満足度
顧客満足度とは、顧客や生活者が企業の商品やサービスに対してどのくらい満足しているのかを表した指標です。顧客満足度を測ることで、商品やサービスへの満足の度合いが分かります。ただし、顧客満足度からは、ブランド自体への忠誠心の高さや、次回も買いたいと思っているかなどは分かりません。
ブランドエクイティ
ブランドエクイティとは、生活者がブランドに対して抱く印象や信頼、好意といった「目に見えない価値」を指す概念です。
ブランドエクイティがさまざまな要素を含む包括的な概念であることに対して、ブランドロイヤルティはブランドに対する忠誠心や執着心のみを示します。ブランドエクイティを構成する要素の一つがブランドロイヤルティです。

企業がブランドロイヤルティを高めるメリット
企業がブランドロイヤルティを高めることで、次のようなメリットが得られます。
リピート率や顧客単価の向上
ブランドロイヤルティが高い状態のユーザーは、競合のブランドを試そうとする傾向が弱まるため、リピート率の向上が見込めます。
さらに、同じブランド内でシリーズ化された商品の購入や、同じ商品のリピート購入により、顧客単価の向上が可能です。顧客のニーズに合う同じブランド内の商品やサービスを紹介することで、より大きな効果が期待できます。
BtoBの業界では、ブランドロイヤルティが高い顧客ほど、長期契約や定期購入につながりやすくなります。また、信頼性が高いブランドとして認識されることで、指名発注が増え、価格競争に巻き込まれづらくなることも、ブランドロイヤルティを高めるメリットです。
宣伝費用や業務コストの削減
ブランドロイヤルティを高めることで、リピート率や顧客単価が向上し、結果として広告費用を抑えることができます。ブランドへの信頼や愛着が強ければ、価格競争に頼らなくても自社の商品・サービスを選んでもらえるようになります。
さらに、口コミサイトやSNSなどで形成されるブランドのファンコミュニティが自然な広告媒体として機能し、新たな顧客獲得の導線を生み出すことにもつながります。
また、BtoB企業においては、既存顧客との信頼関係が強まるほど営業活動が効率化し、営業コストの削減が可能です。ブランドロイヤルティが高ければ、顧客企業からの紹介や口コミによって新規案件を獲得できる可能性も広がります。
インターナルブランディングの強化
ブランドロイヤルティの向上は、ユーザーや生活者といった外部の顧客だけでなく、自社で働く従業員にも良い影響を与えます。そのため、商品やサービスの価値訴求だけでなく、インターナルの視点からブランドロイヤルティを強化する必要があります。
具体的には、働きやすいオフィス環境の整備、福利厚生の充実、社内表彰制度の導入など、従業員が「この会社で働き続けたい」と感じられる仕組みづくりが効果的です。
こうした取り組みを通じて、従業員自身がブランドの一員であることに誇りを持てるようになれば、企業文化の醸成や業務へのモチベーション向上にもつながります。
効果的なブランドロイヤルティ向上が見込める具体的な戦略
ブランドロイヤルティを高めるための施策には、複数の方法があります。ここでは、ブランドロイヤルティを効果的に向上させるための戦略として、以下の4つを紹介します。

ニーズに応じたハイクオリティな商品・サービスの提供
商品やサービスの質に対する評価は、ブランドロイヤルティに大きな影響を与える要素です。そのため、企業は自社が提供できる価値を明確化した上で、ユーザーのどのようなニーズに対応できるのかを照らし合わせていく必要があります。
例えば、BtoB企業においては、クライアントの経営・事業課題を深く理解した上で、具体的な解決策を提案する商品・サービスを提供するといった施策が、ブランドロイヤルティの向上につながります。
ハイクオリティなサービスを維持することで、価格競争に巻き込まれることなく、クライアントからの信頼を獲得することが可能です。
商品・サービスのシリーズ化
人気の商品やサービスをシリーズ化して展開することで、ブランドに対する興味・関心を持続させやすくなります。また、シリーズ化によって「同じブランドで統一したい」というユーザーの気持ちに応えられ、顧客単価の向上が可能です。
ユーザーによるファンコミュニティの形成
SNSやWebサイト上でのファンコミュニティを形成することも、企業のブランドロイヤルティの向上につながる施策です。
ファンコミュニティでは、ユーザー同士がリアルな感想を共有し合ったり、商品・サービスについての疑問点を気楽に問いかけたりできます。ファン同士の交流が活性化されることで、ブランドに対する共感や愛着が強化されます。
迅速かつ丁寧なサポート体制の整備
ユーザーや顧客の疑問や困りごとを短時間で丁寧に解決できれば、ブランドロイヤルティの向上につながります。
具体的には、Q&Aやよくある質問の掲載、24時間対応チャットボットの設置、問い合わせページのアクセス容易性向上などが効果的です。
BtoB企業では、プロアクティブな提案やコンサルティングを提供することで、クライアントの事業成長を支援し、長期的な関係を構築できます。迅速な対応を実現するために、部署間の連携を強化しておくことも重要です。
ブランドロイヤルティを測定する指標
ブランドロイヤルティは、さまざまな方法で測定できます。主な指標は以下の通りです。
NPS(ネット・プロモーター・スコア)
NPSとは「Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)」の略称です。提示した商品やサービスを、知人に対してどのくらいすすめたいか、を数値化する指標です。
NPSの数値は、0(すすめない)から10(すすめる)の11段階です。回答を推奨者と批判者に分けたときの、それぞれの全体に占める割合の差がNPSの値として算出されます。

DWB(デフィニトリー・ウッド・バイ)
DWBとは「Definitely Would Buy(デフィニトリー・ウッド・バイ)」の略称です。日本語では「絶対に買いたい」という意味で、顧客の購買意欲を問う指標となっています。
DWBにおける評価は以下の5段階です。
- 絶対買いたい
- 買いたい
- どちらでもない
- あまり買いたくない
- まったく買いたくない
ブランド独自の指標
製品やサービス軸ではなく、ブランド軸の指標設定も重要です。ブランド軸の指標を設定することで、ブランド全体の健康状態やロイヤルティを測定できるようになります。
例えば、ユーザーが特定のカテゴリで最初に思い浮かべるブランドの割合である「ブランド想起率」は有用な指標です。ブランドの好意度・ファン度は、アンケートやコミュニティ活動の活性度を通じて測定される、ブランドに対する愛着や忠誠度を指します。
また、ユーザーが自発的にブランドについて話題にする頻度や、ポジティブな言及の割合を指すブランドの口コミ率も、ブランドロイヤルティを測定する指標として効果的です。

ブランドロイヤルティに関するQ&A
ここでは、ブランドロイヤルティに関するよくある質問と、その回答を紹介します。
中堅・中小企業でもブランドロイヤルティを高められますか?
中堅・中小企業でも、顧客との信頼関係を深めることで、ブランドロイヤルティの向上が可能です。具体的な方法としては、品質の高い商品やサービスを提供することや、一貫したブランドメッセージを発信することが挙げられます。また、顧客への丁寧な対応やアフターサービスを行うことも有効です。
大手企業と比べて、顧客との密接なコミュニケーションや柔軟な対応をしやすいため、ブランドロイヤルティを効果的に高められます。
ブランドロイヤルティを数値で測るにはどうすればいいですか?
ブランドロイヤルティは、前述した「NPS」や「DWB」などの指標での測定が一般的です。そのほか、顧客維持率や再購入率、顧客生涯価値などでもブランドロイヤルティを測定できます。
顧客をファンに変えるブランドロイヤルティ戦略を実践してみよう!
顧客がブランドに対して持つ忠誠心や執着心を表すブランドロイヤルティは、リピート率や顧客単価を向上させるために大事な要素です。また、ブランドロイヤルティを高めることは、従業員の帰属意識や自社に対する愛着を高めるインナーブランディングにもつながります。
高品質なサービスの提供や商品のシリーズ化、ファンコミュニティの形成、丁寧なサポート体制の整備などを行い、顧客をファンに変えるブランドロイヤルティ戦略を実践しましょう。
当社は、ブランディング、マーケティング、クリエイティブに加え、財務、法務・知財、人事・労務などの領域横断チームを基にクリエイティブコンサルティング事業を展開しています。
成長を支えるパートナーとして、ブランド戦略立案から皆様の「ありたい姿」の実現をサポートいたしますので、お気軽にお問い合わせください。