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2025/08/21

タイポグラフィデザインの基本と実践!コツや成功事例を紹介

コラム

近年、多くの企業が「社内に専門的なデザイナーがいないため、クリエイティブの質に課題を感じている」「内製したデザインの質をさらに向上させたい」といった課題を抱えています。これらの課題は、タイポグラフィを適切に活用することで解決できる可能性があります。

タイポグラフィとは、文字の配置や見せ方を工夫して、読みやすく・美しく整えるためのデザイン技法です。タイポグラフィを活用すれば、伝えたいメッセージをターゲットにわかりやすく、かつ魅力的に届けることができます。
この記事ではタイポグラフィデザインの基本をはじめ、書体の選び方やテクニックなどを解説します。

タイポグラフィデザインの基本!意味と目的

タイポグラフィとは、文字を「読みやすく並べること」と「デザインとして魅せること」の両方を指すデザイン技術です。書体・サイズ・行間・文字間隔などを調整し、視覚的な表現と読みやすさを両立させることを目的とします。

タイポグラフィは、ロゴ・広告ビジュアル・アニメーション付きの文字表現など、アートやブランド表現にも活用されます。特に、Web記事などの文字量が多い媒体では、タイポグラフィがユーザー体験やブランド認知に直結するため、文字を単なる情報伝達の手段ではなく、視覚的に印象付ける手段とすることが重要です。

タイポグラフィが企業デザインに与える影響

タイポグラフィは、企業のアイデンティティや理念を効果的に表現する手法であり、名刺からWebサイトに至るまでのデザインに統一感を与え、ブランドイメージの構築や強化につながります。

また、読みやすく美しい書体は、コンテンツを魅力的に見せ読者の関心を引きつける役割があるので、購買や問い合わせなどの行動を促進します。
さらに、独自のタイポグラフィを使えば、競合との差別化も図れるでしょう。

フォント選びの基本!「らしさ」を表現するに適した書体とは

タイポグラフィを活用する際、フォント選びはデザインの印象を左右する重要な要素です。ブランドの特徴や目的に合ったフォントを選定することで、効果的なデザインを実現できます。
ここでは、和文と欧文それぞれの代表的なフォントと、与える印象を解説します。

和文の基本書体:明朝体、ゴシック体

和文の代表的なフォントとして、明朝体とゴシック体が挙げられます。
明朝体は筆書き風の線構成のため、日本語らしさを強調する書体の種類といえます。縦線が太く横線が細い、線に強弱があり、「はね」「はらい」「うろこ」などが特徴です。筆の動きを意識した繊細なデザインで、上品・伝統的な印象を与えます。
以下は、明朝体の主なフォント例です。

  • ヒラギノ明朝
  • 游明朝体
  • 筑紫Aオールド明朝
  • はんなり明朝
明朝体について説明した図

ゴシック体は、均一な線幅で構成され、視認性と可読性に優れた書体です。すべての線が同じ太さで、直線的で力強い印象に仕上がります。「はね」などの装飾がないため、安定感とポップさを表現しやすいです。ゴシック体は、WebやUIデザインに多く採用されており、情報をはっきり伝えたい場面に適しています。
ゴシック体の主なフォント例は、以下のとおりです。

  • 小塚ゴシック
  • 源ノ角ゴシック
  • 見出ゴMB1
ゴシック体について説明した図

欧文の基本書体:セリフ体、サンセリフ体

欧文の代表的なフォントは、セリフ体とサンセリフ体です。
セリフ体は伝統的かつ装飾的な欧文書体で、読みやすさと品格を両立しており、文字に「ひげ」「うろこ」のような装飾(セリフ)があることが特徴です。落ち着き・信頼感・クラシック・格式といった印象を与え、線の太さやセリフの形でモダンさや柔らかさも演出できます。
セリフ体の主なフォント例は、以下のとおりです。

  • Garamond Premier
  • Adobe Jenson
  • ITC Century

サンセリフ体は、装飾のないシンプルなスタイルで、現代的で力強い印象を与えます。線の太さがほぼ均一で、視認性が高く、明快で力強い印象を与えます。モダン・クリーン・カジュアル・ミニマルといった印象を表現しやすいことが特徴です。サンセリフ体は、縦線・横線・曲線が均一で、日本語のゴシック体に似ています。
以下は、サンセリフ体の主なフォント例です。

  • Helvetica
  • Gill Sans
  • Futura
セリフ体とサンセリフ体の違いを説明する図

タイポグラフィの実践的なテクニック

タイポグラフィを活用する際は、状況に応じて以下のテクニックを取り入れることで、より洗練されたデザインを実現できます。

表現したい内容に合ったフォントを選ぶ

フォントには、感情や雰囲気を伝える力があるため、適切なフォント選びが重要です。例えば、明朝体は上品・伝統的な印象、ゴシック体はカジュアル・安定感・ポップさを表現できます。
企業やブランドのイメージにあわせることはもちろん、何を伝えたいのか・表現したいのか、を具体的にイメージし、それをかなえるフォントを選ぶことが重要です。

フォントを複数使用する

異なる特性を持つフォントを組み合わせることで、視覚的なコントラストを効果的に演出できます。例えば、ゴシック体と手書き風フォント、または和文と欧文を組み合わせることで、デザインに独自性と動きを生み出すことが可能です。ただし、フォントはブランドイメージに大きく影響を与えます。やみくもに掛け合わせるのではなく、意図をもって選定しましょう。

フォントを複数使用した例を紹介した図

欧文は大文字・小文字を使い分ける

欧文を使用する場合は、大文字・小文字の使い方も意識します。例えば、「ANA(すべて大文字)」「Ana(頭文字のみ大文字)」「ana(すべて小文字)」は、同じアルファベットの並びですが、それぞれまったく異なる印象を与えます。
欧文の主な使い分け方は、以下の3つです。

種類特徴
オールキャップス(all caps)・すべての文字が大文字
・単語やフレーズを強調するために使われる
スモールキャップス(small caps)・小文字と同じ高さで並べられた大文字
・大文字で組まれた単語や文章が冗長になるのを防ぐ効果がある
キャップアンドロー(Cap & Low)・1文字目のみ大文字で、2文字目以降が小文字
・視覚的なコントラストを作り、デザインにアクセントを加える

文字の大きさを変える

見出し・タイトル・キャッチコピーなどの主な情報は大きく、補足情報や注意書きは小さく表示することで、情報の優先度に応じた視線誘導が可能になります。この文字サイズを変えたときの比率を「ジャンプ率」と呼びます。ジャンプ率は、視線の流れだけでなく、文章の可読性やデザイン全体の印象にも大きな影響を与えます。

また、文字サイズの調整によって視認性や印象の強弱を操作できるだけでなく、記憶に残りやすい順序をコントロールすることも可能です。例えば、「キャンペーン名は大きく表示し、開催日時や注意事項は控えめにする」といった工夫により、重要な情報に自然と目が向く設計ができます。

ジャンプ率について説明した図

重要箇所はウェイト(太さ)で強弱をつける

太字(ウェイト)を使い分けることで、情報の強調・区別がしやすくなります。同じサイズの文字が並ぶと、文章の内容が理解しづらいため、太さを変えて情報にメリハリを出すことが重要です。

さらに、「下線を引く」「文字色を変える」など太字以外の強調手法も有効です。反対に、「税込」や「円」といった補足的な情報の文字は、あえて細く・小さく・薄くすることで、主となる情報が引き立てられます。

色の印象を意識した配色を行う

色は視覚的な印象だけでなく、「黒は高級・重厚」「ピンクは愛情・優しさ」のように心理的な印象も左右します。内容に合った色を選ぶことで、視覚的なメッセージ性が強化されます。

重点的に伝えたい部分だけに背景色や囲みを使うのも有効で、引用部分やCTA(申し込み・購入ボタン)などで活用すると効果的です。

字間(文字同士の間)や行間(行同士の間)をそろえる

字間を整えることで、読みやすさと見た目のバランスが整い、印象が変わります。個別に間隔を調整することを「カーニング」、全体的に均等化することを「スペーシング」と呼びます。ロゴや見出しではカーニングの調整が重要です。
また、行間(行送り)は、詰まりすぎていると圧迫感が出て読みにくくなるため、1.15~1.5倍程度の行送り倍率が理想です。

カーニングについて説明した図

初心者が陥りやすいタイポグラフィの注意点

タイポグラフィを効果的に活用するためには、文字サイズや配色の選定など、いくつかの注意点を押さえる必要があります。
以下は、初心者が陥りやすいポイントです。よく確認し、視認性やデザインバランスを損なわないように気をつけましょう。

  • 英語・数字は小さく見える
  • 約物(句読点やカッコなど)は不自然なスペースができる
  • 色・フォントを複数使用しすぎると視認性が低下する

英語・数字は小さく見える

日本語と英数字では、視覚的なサイズ感が異なります。一般的に、「漢字>かな>欧文・数字」の順で小さく見えるため、英数字をやや大きめに設定することでデザイン全体のバランスを整えることが可能です。
特に、タイトルや異なる文字種を含む文章では、英数字を拡大することで視覚的なバランスを整えられます。

約物(句読点やカッコなど)は不自然なスペースができる

句読点(「、」や「。」)やカッコなどの約物は、文字列内で不自然な余白を生じやすいです。特に、行頭や行末に配置された場合、間隔が詰まりすぎたり広がりすぎたりすることがあるため、カーニングを調整して視覚的なバランスを整える必要があります。
なお、約物が原因で全体のレイアウトに乱れが生じるようであれば、手動で字間を調整して整えることも有効です。

色・フォントを複数使用しすぎると視認性が低下する

使用する色は、ベースカラー・アクセントカラー・サブカラーの3色以内に抑えることで、デザイン全体に統一感を与えることができます。フォントのウェイトやサイズの変化で印象を補えば、色数を増やさずとも訴求力を保つことが可能です。
また、フォントの種類も多用しすぎると視認性や統一感が損なわれるため、基本的には3種類以内に留めることを推奨します。フォントには相性があり、似たもの同士を混ぜると違和感の原因となります。基本フォントを決めたうえで、装飾や強調に別フォントを使用するのがおすすめです。

なお、フォントの組み合わせに慣れていない場合は、同じフォントファミリーで揃えると安全です。例えば、メインのフォントが「Arial」である場合、「Arial Regular」「Arial Bold」「Arial Italic」といったバリエーションの中から使い分けると失敗が少ないです。

タイポグラフィを活用してブランディングを成功させるためには

タイポグラフィを活用してブランドイメージを強化するためには、自社で内製する方法専門家に依頼する方法の二つがあります。それぞれのメリットとデメリットを理解したうえで、適切なアプローチを選択することが重要です。

自社で取り組む

タイポグラフィの基本を学ぶスクールへの参加や専門書の購入を通じて、基礎知識を習得し、自社内でデザインを内製する方法です。この方法は、ブランドに対する深い理解を活かしながらデザインを進められる点や、外注費を削減できる点がメリットです。

ただし、デザインに関する知識や経験が浅い社内メンバーが担当する場合は、技術面で不十分な点が生じ、仕上がりの完成度が低くなる可能性もあります。
もし社内で取り組む場合は、「成功するブランディングデザインの秘訣:目的とポイント、企業事例から学ぶ」や「ブランドロゴの重要性や必要性とは?ブランディングに効果的な作成手順も」を参考にしてみてください。

専門家に相談する

タイポグラフィに造詣の深いデザイナーやコンサルタントに依頼する方法です。このアプローチでは、プロフェッショナルの技術を活用することで、完成度の高いデザインを実現できます。また、最新のデザイントレンドや業界動向を反映した、競争力のあるクリエイティブ制作が可能です。

ただし、企業やブランドへの理解が浅いデザイナーが担当すると、伝えたいメッセージが十分に反映されない可能性があります。外部へ依頼する際は、ブランド戦略を深く理解し、それをクリエイティブに落とし込める専門家やパートナー企業を選ぶことが重要です。

タイポグラフィを活用してブランドイメージを強化

タイポグラフィは、Webや印刷物をはじめとするさまざまな媒体で、文字を視覚的に美しく整え、情報を効果的に伝達するために活用されます。タイポグラフィを活用する際は、まずその基本的なルールや構造を理解することが重要です。文字の整列、フォントの選定、色や間隔の調整などを試行錯誤しながら進めることで、より効果的なデザインが実現できます。

より高度なデザインを求める場合は、専門家に依頼することを検討してください。プロフェッショナルの知識と技術を活用することで、ブランドイメージに最適化されたタイポグラフィを実現できます。


当社は、ブランディング、マーケティング、クリエイティブに加え、財務、法務・知財、人事・労務などの領域横断チームを基にクリエイティブコンサルティング事業を展開しています。
成長を支えるパートナーとして、ブランド戦略立案から皆様の「ありたい姿」の実現をサポートいたしますので、お気軽にお問い合わせください。