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2026/08/20
人的資本経営とブランディングとは?従業員の誇りが企業価値を高める理由
コラム

「人的資本経営」という言葉を、経営の場面で耳にする機会が増えました。人財への投資や情報開示が求められる一方で、「開示のための数字集めに追われている」「制度は整えたが、従業員のエンゲージメントが上がらない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。本記事では、人的資本経営とブランディングの関係を解説します。
この記事でわかること
- 人的資本経営とは何か
- 人的資本経営が「情報開示・制度対応」だけではない理由
- ブランディングが人的資本の価値を高める仕組み
- インナーブランディング・採用ブランディングとの関係
Contents
人的資本経営とは
人的資本経営とは、人財を「コスト」ではなく、価値を生み出す「資本」と捉え、その価値を最大化する投資として人財戦略を経営に統合する考え方です。近年は、その取り組みを投資家やステークホルダーへ開示することも求められています。
最初に結論をお伝えします。人的資本経営の本丸は、開示の数字ではなく、従業員が誇りを持って働ける状態をつくることです。そしてそれは、ブランディングと切り離せません。

なぜ今、人的資本経営が求められるのか
人的資本経営が、いま経営の重要課題になっています。その背景には、いくつかの変化があります。
- 情報開示の要請:日本でも、上場企業を中心に、有価証券報告書などで人的資本に関する情報開示が求められるようになりました(2023年以降)。
- 無形資産としての人財:企業価値に占める無形資産の比重が高まり、なかでも人財は競争力の源泉として重視されています。
- 人財獲得競争と価値観の多様化:給与や条件だけでは人が集まらず、理念や働く意味への共感が問われています。
人的資本経営は「開示対応」ではない
人的資本経営が広まる一方で、それを「開示のための対応」や「人事制度の整備」に矮小化してしまうケースが少なくありません。そう思われがちですが、私たちは、それでは本質を外してしまうと考えています。
どれだけ制度を整え、数字を開示しても、従業員一人ひとりが自社の理念に共感し、誇りを持って働けていなければ、人的資本の価値は高まりません。人的資本経営の本丸は、従業員のエンゲージメント(当事者としての貢献意欲)を高めることにあるのです。
ブランディングが人的資本の価値を高める仕組み
ここでブランディングが力を発揮します。ブランディング、とりわけ社内に向けたインナーブランディングは、次のような筋道で人的資本の価値を高めます。
パーパス(存在意義)への共感 → エンゲージメントの向上 → 定着率・生産性の向上と自律的な貢献 → 企業価値の向上
自社が何のために存在するのかが共有され、一人ひとりが「自分の仕事が社会にどうつながるか」を実感できたとき、人財は単なる労働力ではなく、価値を生む資本になります。
反対に、いくら人財への投資を増やしても、その人財が自社の目指すものに共感していなければ、投資は十分に活きません。ブランディングは、人的資本への投資を「効く投資」に変える土台なのです。
インナーブランディングと人的資本経営
インナーブランディングとは、企業の理念や価値観を社内に浸透させ、従業員の共感と自発的な行動を引き出す活動です。これは、人的資本への最も本質的な投資だといえます。
制度や研修が「器」だとすれば、そこに魂を入れるのがインナーブランディングです。理念が浸透した組織では、従業員が自ら考え、動き、育ちます。私たちエンビジョン自身も、「メンバーの物心両面の幸せを追求する」という原則を経営の軸に置き、理念の浸透を何より大切にしています。インナーブランディングについては、別の記事でも詳しく解説しています。
採用ブランディング・EVPとの接続
人的資本経営は、いま社内にいる人財だけでなく、これから迎える人財にも関わります。ここで効くのが、採用ブランディングとEVP(従業員価値提案)です。
「この会社で働くと何が得られるか」という約束を、社内の実態と一致させて発信することが、人的資本の入り口を強くします。採用ブランディングについては、別の記事で詳しく解説しています。
■採用ブランディングで人材難を解決!メリットや目的、実施手順を解説
どう取り組むか
Q. 何から始めればよいですか?
まず、自社のパーパスや理念が、従業員に自分ごととして共有されているかを見つめ直すことから始めてください。開示すべき数字を整える前に、その数字の裏づけとなる「従業員の誇り」を育てることが先です。
Q. 情報開示は不要ということですか?
いいえ、開示は重要です。ただし、開示のために取り繕うのではなく、実態としての人的資本の価値を高め、それを正しく伝える——という順序が大切だ、ということです。
人的資本経営に取り組む企業事例
理念への共感を軸に、人的資本の価値を高めている企業を紹介します。
味の素
味の素は、「ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)」という経営の基本方針を掲げています。これは、自社の事業を通じて社会課題に取り組み、「社会価値」と「経済価値」を共創するという考え方です。
この方針のもとで、従業員のエンゲージメントを重要な経営指標として位置づけ、人財への投資を積極的に進めてきました。従業員一人ひとりが自社の存在意義に共感し、当事者として働くことそのものを、企業価値の源泉として捉えています。開示のための数字ではなく、実態としての人的資本の価値を高めている好例です。
従業員の「存在意義への共感」を企業価値の源泉として捉え、実態としての人的資本の価値を高めている好例(味の素)
出典情報はこちらからご確認いただけます。
オムロン
「企業理念経営」を掲げるオムロンは、理念の浸透と実践を経営の中心に据えています。従業員が理念を体現した取り組みを全社で共有し、称賛する仕組みを通じて、理念への共感を組織文化として根づかせてきました。これは、インターナルブランディングが人的資本の価値を高める、まさにその実践だといえます。
理念を体現した取り組みを全社で共有・称賛する仕組みで、理念への共感を組織文化として根づかせた好例(オムロン)
出典情報はこちらからご確認いただけます。
まとめ
人的資本経営とは、情報開示や制度対応そのものではなく、従業員が誇りを持って働ける状態をつくり、人財の価値を最大化する経営です。
その土台となるのが、パーパスへの共感を育てるブランディング——とりわけインターナルブランディングです。数字を整える前に、従業員の誇りを育てる。その視点に立ったとき、人的資本経営は「対応」から「価値創造」へと変わります。
株式会社エンビジョンは、「人を動かし、社会を動かすクリエイティブカンパニー」として、企業の経営や事業の課題と向き合い、その本質的な価値を再定義することで、社会に新しい意義を生み出すブランドへと育てるお手伝いをしています。戦略設計からクリエイティブの実装、社内外への浸透まで、多様な専門性を持つチームが一貫して伴走します。人的資本経営を支えるインナーブランディングからはじまる皆様の挑戦を、ぜひお聞かせください。