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2025/06/10

ブランドロゴの重要性や必要性とは?ブランディングに効果的な作成手順も

コラム

ブランドロゴを作りたくても、「効果的なブランドロゴとは?」「ブランドロゴはどうやって作るの?」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
ブランドロゴは、商品やサービスを象徴するものです。他社との差別化や認知度の向上のために、ブランドロゴが重要な役割を果たします。

今回は、ブランドロゴの概要や構成要素、ブランドロゴの事例、作成手順などを解説します。ブランドロゴの作成やリニューアルを検討している方は参考にしてください。

ブランドロゴとは?

ブランドロゴとは、企業や商品、サービスなどを象徴するデザインです。自社のブランドロゴを作成することで、競合他社やその商品・サービスとの違いを明確にできます。
ブランドロゴは顧客や取引先に対して、自社の商品やサービスを認識してもらうための「目印」または「象徴」であり、見る人の視覚的な記憶として残るため、企業のブランディングや商品認知に欠かせません。
効果的なブランドロゴを作成することで、企業の想いやブランドイメージなどが伝わりやすくなります。

ブランディングについて詳しくは「ブランディングの意味とは?企業が行う目的や効果、手順を解説」の記事で解説しています。併せてご覧ください。

ブランドロゴを構成する要素

ブランドロゴを作成する際は、ブランドが伝えたい想いやイメージなどの情緒的な要素と、ブランドロゴを使用する場所や大きさ、目的、役割などの機能的な要素を考慮することがポイントです。

ブランドロゴの種類には、図形やモチーフなどの「ロゴマーク」と、文字をデザインする「ロゴタイプ」の2つがあります。
ここでは、ブランドロゴを構成する要素を解説します。

ロゴマーク(シンボルマーク):図形やモチーフなどをデザイン

ロゴマークには文字を使わないため、言語に関わらず世界中にブランドをアピールできます。NIKEやスターバックスのブランドロゴがその例です。

ロゴタイプ:テキストをデザイン

ロゴタイプは、テキストをデザインして作成されるため、社名や商品名などの名称を覚えてもらいやすいです。また、最小限の要素で構成されるため、商品パッケージや広告クリエイティブなどの制作物への影響も減少します。SONYのブランドロゴなどがその例です。

ロゴマークとロゴタイプの違いを表す図

ブランドロゴの事例

ここでは、有名な企業の事例として、セブンイレブンとNIKEのブランドロゴを解説します。

セブンイレブン

セブン&アイグループのプライベートブランド(独自に開発、販売する商品)である「セブンプレミアム」は、10周年を迎えたタイミングでブランドロゴのリニューアルを行いました。

「セブンプレミアム」をはじめ、高品質な商品を提供する「セブンプレミアム ゴールド」や生鮮ブランドの「セブンプレミアム フレッシュ」、「セブンプレミアム ライフスタイル」、「セブンカフェ」などのブランドロゴのフォントを統一しています。
見やすさや、わかりやすさを重視したデザインにより、魅力的な商品が豊富に揃うという価値を表現しました。

NIKE

NIKEのロゴマークは高性能とスポーツ精神を表しており、「スウッシュ(素早くものを動かすときの音)」と呼ばれています。無駄を省き洗練されたデザインですが、このスウッシュは、グラフィックデザインを学ぶ無名の学生キャロライン・デビッドソンによって短期間でデザインされたものです。

ナイキはこのシンボルを通じ、自己超越と限界突破への情熱を世界に発信し、ブランドそのものの価値を高めています。なお、認知度が高まった近年では、「NIKE」のロゴも無くしたスウッシュのみのシンプルなデザインが主に使用されています。

ブランドロゴの必要性とは?ロゴが果たしている役割

優れたデザインのブランドロゴを作成することは、商品やサービスを市場に根付かせるために重要です。ブランドロゴは、企業のブランディングにおいて以下のような役割を果たします。

他ブランドとの差別化につながる

ブランドロゴを作ると、他社のブランドとの違いを視覚的に表せます。例えば、商品の本体やパッケージにブランドロゴを使用することで、自社ブランドの特徴を反映した独自のものであると表現できます。
また、企業価値が高い企業や分野によっては、自社のブランドロゴがついたアイテムを持つことがステータスである、として顧客や世間に認識してもらえることもあります。

認知度を高め企業イメージを形成する

ブランドロゴには、市場における企業や商品の認知度を高める役割があります。企業名を知らなくてもブランドロゴを見れば商品が思い浮かんだり、ブランド名や商品名を聞くだけでブランドロゴを思い浮かべたりできることは、企業の認知度が高まっている状態です。

また、ブランドロゴは、ブランドの広告や公式サイトなどのデザインにも幅広く使われ、一般生活者の目に触れる機会が多くあります。その結果、ブランドロゴの認知度が高まることで、商品やサービスの認知度向上にもつながります。

企業のブランディングにおいてブランドロゴが果たす役割を表す図

効果的なブランドロゴ作成に必要な要素

ブランドロゴはあくまでもブランディングの一要素であり、必ずしもデザイン性が高ければ良いというわけではありません。

一目見て企業や商品と結びつくようなブランドロゴには、共通する要素があります。効果的なブランドロゴを作成するための要素は以下の通りです。

自社の理念やコンセプトを可視化している

優れたブランドロゴには、自社の企業理念やコンセプトが視覚的に反映されています。また、企業が実現を目指している「ミッション」や、ミッションを実現した状態を表す「ビジョン」、企業が重視する価値観を表す「バリュー」などが可視化されていることも、効果的なブランドロゴの特徴です。

envisionのブランドロゴ
◼︎envisionの例

envisionのブランドロゴは、ミッションである「ポジティブなビジョンを描く未来志向と価値観や行動に多様性をもたらす創造力で無邪気に、かつ着実に、イマを変えていく。」を体現したロゴとなっています。社会に対し誠実、堅実でありながら、遊び心を忘れず、価値観の多様性にも柔軟に対応できる企業姿勢をロゴデザインに込めています。

様々なシーンで使用できる汎用性がある

商品やサービス自体だけでなく、Webサイトや広告、紙媒体などに幅広く使える汎用性も、ブランドロゴに求められる要素です。

シンプルでわかりやすいデザインにすると、ブランドロゴの汎用性が高まります。使う色の数が多かったり、デザインがごちゃごちゃして見えたりするブランドロゴは、使用できる場所が限られる・視認性が悪い、などの問題が生じます。
また、シンプルなデザインは印象に残りやすいという特徴もあります。商品や広告に記載した際の見やすさも重視しましょう。

時代性や事業成長に合わせて、アップデートが必要

デジタル対応によるフラットデザイン化や事業領域の拡張や変更によるブランドイメージ形成に変化をもたらしたい際は、適宜、アップデートが大切になります。

たとえば、スタートアップ企業が成長してグローバル展開を目指す際など、より洗練されたロゴへ刷新することで信頼感を高められる場合もあります。
時代やターゲットに合ったロゴへと見直すことは、ブランドの鮮度を保つためにも重要です。

独自性があり商標権を侵害していない

オリジナリティがあり、他の人や企業の商標権(名称等を無断で使用されないよう保護する権利)を侵害していないことも、ブランドロゴに必要な要素です。
既存のブランドロゴと似たデザインになると、模倣を疑われ企業のブランディングに悪影響が出るリスクがあります。そのため、類似するブランドロゴが無いかをチェックすることが重要です。

また、商標権だけでなく、意匠権(デザインなど見た目の独自性を保護する権利)や知的財産権(創作など知的な成果物を保護する権利)を侵害していないかも確認しましょう。国内だけでなく海外のブランドロゴも確認し、独自性のあるデザインか検討する必要があります。

ブランドロゴ作成の手順

ブランドロゴを作成する際は、まず、プロジェクトチームの立ち上げや目的・企業理念の明確化などに取り組むことが重要です。

ここでは、以下の手順でブランドロゴを作成する方法を解説します。

  1. 社内でプロジェクトチームの立ち上げ
  2. ロゴ作成の目的や企業の理念を明確化
  3. ブランドロゴを開発
  4. ロゴ開発に関するガイドラインやルールを策定
  5. 商標登録

社内でプロジェクトチームの立ち上げ

まずは、社内でブランドロゴを作るためのプロジェクトチームを立ち上げましょう。社長や創業者などの限られたメンバーのみで作るよりも、多くの人を巻き込んで自社の文化をブランドロゴに反映させた方が社内に浸透しやすくなります。

プロジェクトチームの編成例は以下の通りです。

  • 社長や経営陣など、自社の価値観やビジョンを深く理解している人
  • プロジェクトリーダー
  • 営業職など、顧客との接触機会が多い人
  • マーケティング職など、市場や競合の動向に知見のある人
  • デザイナー職など、デザインや他社のブランドロゴに関する知見がある人
  • 広報職、総務職などブランドロゴの社内外への浸透を担当する人

このように、様々な部署のメンバーを含めてプロジェクトチームを立ち上げることで、自社のコンセプトや方針を反映した優れたブランドロゴを作りやすくなります。

社内でプロジェクトチームを立ち上げる様子

ロゴ作成の目的や企業の理念を明確化

次に、ブランドロゴを作成する目的や企業の理念を明確化します。ブランドロゴの作成に至った経緯や、ブランドロゴの作成による成果などについて、プロジェクトチーム内で認識を共有することが重要です。

特に、ブランドロゴの作成に向けた想いは、企業のMVVの反映やブランディングなどに深く関わるため、プロジェクトチーム内で念入りに検討する必要があります。

ブランドロゴを開発

ブランドロゴの目的や反映したい企業の価値観をデザイナーに伝え、ブランドロゴを実際に作成します。いくつかのデザイン案を作成し、比較検討した上で最終案を決めると、より良いブランドロゴが作れます。

デザインの工程は、プロのデザイナーまたは自社のデザイン部に任せることがおすすめです。フォントやカラー、サイズ、レイアウトなどデザインの専門知識がある人に依頼することで、見やすくわかりやすいブランドロゴが作成できます。

ロゴ開発に関するガイドラインやルールを策定

完成したブランドロゴについて、使用に伴うガイドラインやルールを策定しましょう。
ガイドラインを策定していないと、ブランドロゴの使用に関するトラブルが起きた際に、自社が不利になるリスクがあります。そのため、イメージを損なう改変を禁止したり、不適切な使用を避けたりするためのルールを決めることなどが重要です。
実際、有名なブランドロゴを保有している企業は、自社サイトなどでガイドラインを公表しています。

商標登録

一般的に商標とは、商品に対してつけられている表示、標識などを指します。特に特許庁において、審査の対象となる「商標」とは、主に下記を満たすものをいいます。

  1. 出所表示機能
  2. 品質保証機能
  3. 宣伝広告的機能

これら3つをまとめて、「自他商品等識別機能」と呼びます。この「自他商品等識別機能」を持つ「商標」が、法律上の商標と定義されています。

ブランドロゴを商標登録するときに必要な機能を表す図

商標登録とは、自社のブランドロゴを独占的に使用するための「商標権」を取得する手続きです。特許庁に「商標登録出願」を行い、審査を通過すると商標登録ができます。

商標登録しておくことで、自社以外の企業や個人にブランドロゴを不正に使われた場合に、正当な権利を主張できます。
商標登録を行わず、第三者によって自社のブランドロゴが勝手に商標登録されてしまった場合、自社で使用できなくなる可能性があります。このようなリスクを避けるために、商標登録は必ず行いましょう。

ブランドロゴはブランディングを成功させる要素の一つ

ブランドロゴは、あくまでもブランディングの一要素です。ブランドロゴの作成だけに注力しても、ブランディングがうまくいくとは限りません。
ブランディングを成功させるためには、自社で定めたブランドコンセプトやブランドアイデンティティに基づいて、ブランドを構成する要素を丁寧に作成し、発信していく必要があります。同時に、企業の価値や提供するサービス・商品の品質を高めることも重要です。

ブランドロゴを作成し、効果的なブランディング戦略を!

企業や商品、サービスの価値を視覚的に伝えるブランドロゴは、ブランディングや認知拡大において大切な要素です。効果的なブランドロゴを作成するためには、作成の目的や自社のミッション・ビジョン・バリュー、企業の歴史などを踏まえてデザインを決める必要があります。

統一感のあるブランド戦略へと発展させていくことは重要ですが、社内だけでこれを進めるのは難しい場合もあります。そこで、外部の専門家に依頼し、ブランド戦略の確立をサポートしてもらうことも検討しましょう。


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