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2025/07/10

成功するブランディングデザインの秘訣:目的とポイント、企業事例から学ぶ

コラム

ブランディングデザインとは、企業や商品の魅力やメッセージを視覚的要素や言葉で表現し、生活者やターゲット顧客などに届けるための手段です。いざブランディングデザインを始めようと思っても「どのように進めればよいのか」「目的がはっきりしない」と悩む方も多いでしょう。
本記事では、基本的な考え方から、目的、成功させるためのポイントなどを解説します。企業事例も紹介していますので、ブランディングデザインについて知識を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

ブランディングデザインとは?

ブランディングデザインとは、企業やブランドの考え方、商品やサービスの方向性や独自性を視覚的に表現し、伝えるプロセスです。具体的には、企業ロゴやパッケージデザイン、Webサイトのビジュアル、広告クリエイティブなどが該当します。視覚的なアプローチは、ブランドの認知拡大やイメージ構築に貢献するだけでなく、競合との差別化や顧客との関係構築にも役立ちます。
日本デザイン振興会では、デザインを「常にヒトを中心に考え、目的を見出し、その目的を達成する計画を行い実現化するという一連のプロセス」と定義しています。
また、ブランディングは、企業や商品、サービスのイメージを意図的に形成し、世間に定着させるための戦略的な活動をさします。詳しくは「ブランディングの意味とは?企業が行う目的や効果、手順を解説」の記事をご覧ください。

参照:GOOD DESIGN AWARD

企業がブランディングデザインを行う目的や必要性

ブランディングデザインの主な目的は、デザインの力で会社や商品、サービスのブランドイメージを確立し、それを広く浸透させることです。企業がブランディングデザインを導入する具体的な目的としては、以下の5つが挙げられます。

  • ブランドイメージに一貫性を持たせる
  • ブランドの認知度を向上させる
  • 競合との差別化を図る
  • ブランドの理念や価値観を明確化する
  • ブランドの世界観や特徴を視覚化する

商品やサービスの独自性を、グラフィックデザインやコピー、動画、カラー、トーン&マナーといったクリエイティブな手法で表現することで、ブランドの認知度や価値を高め、より深く印象づけられます。
視覚的に生活者に訴求することは、他ブランドとの差別化を図るうえでも有効な手段であり、顧客の共感やロイヤルティを高めるためにも不可欠です。

ブランディングデザインを構成する主な要素と役割

ブランディングデザインにより、企業や商品、サービスの価値観や世界観を視覚的に伝えることで、顧客との信頼関係を築き、継続的な関係を育む土台を作ります。

ブランディングデザインを構築する主な要素は、以下の7つです。

  • ブランドロゴ
  • カラー
  • フォント
  • 商品パッケージ
  • グラフィック
  • 動画
  • コピー

ここからは、それぞれの要素について詳しく解説していきます。

ブランドロゴ

ブランドロゴは、企業や商品の価値観や理念を端的に表現するものであり、ブランディングデザインの中でも特に重要です。オリジナリティのあるロゴは、生活者の記憶に残りやすく、ブランドを即時的に認識させる効果があります。
なお、ブランドロゴは、商品パッケージやラベル、テレビCM、公式サイト、公式アカウントのアイコンなど、幅広い媒体で使用されるため、視認性(見つけやすさ)と可読性(読みやすさ)の両立が不可欠です。

企業のブランディングにおけるブランドロゴが果たす役割を説明する図

カラー

色彩は心理的な影響力が大きく、ブランドの世界観や価値観を直感的に伝える役割を果たします。また、人の記憶にも残りやすいため、ブランド認知の向上にも効果的です。ロゴをはじめ、コーポレートサイトやパンフレット、広告で使用するカラーに統一感を持たせることで、ブランド全体の一貫性が保たれ、信頼感のある印象を与えられます。

フォント

フォントは、ブランドの世界観やメッセージを視覚的に補強します。選ぶフォントによって伝わる雰囲気が大きく変化するため、読みやすさに加え、ブランドのイメージに合ったフォントを選ぶことが大切です。さらに、メッセージや目的に応じて適切なフォントを用いることで、説得力を持たせられます。

商品パッケージ

商品パッケージは、店頭において商品のブランドイメージをつくる役割を担います。広告や宣伝でブランドの認知度が高まっていても、商品パッケージがそのイメージと一致していなければ、生活者は違和感を覚え、商品を手に取らない可能性があります。そのため、カラーやフォントだけでなく、形状や素材に至るまで、ブランドの世界観やコンセプトに沿って慎重に選択することが大切です。

グラフィック

グラフィック(graphic)とは、絵や写真、図などを使った視覚的な表現方法のことです。印刷物や映像、WEBを含めたデジタルコンテンツと、幅広いメディアで活用され、情報を視覚的にわかりやすく伝える役割を果たします。
文字だけでは伝えにくい情報やニュアンスをビジュアルで補うことで、見る人に強い印象を与え、記憶に残りやすくなることが特徴です。ブランドの世界観を直感的に表現する手段にもなります。

動画

動画は、企業そのものや、企業が提供する商品、サービスの認知向上やイメージアップを主な目的としています。数十秒という短い時間で多くの情報を伝えられるうえ、SNSでの拡散力が高いことも魅力です。
動画は目的により内容や切り口が異なり、例えば「ブランディング動画」は、企業やブランドが大切にしている価値観や理念、世界観を視聴者に伝えることに重点を置いたものです。つまり、直接的な販促を狙うものではなく、長期的なブランド構築を目的としています。一方「動画広告」は、特定の商品やサービスの魅力を端的に伝え、購入や問い合わせなどの具体的なアクションを促すことに重点が置かれます。動画は、目的に応じて内容や伝え方を選ぶことで、より効果的にブランドの魅力やメッセージを届けられます。

コピー

広告や宣伝におけるコピーとは、企業や商品、サービスなどの魅力を端的に伝える短い文章のことです。コピーには主に以下の3つの種類があり、うまく連携させることで、読み手の理解と共感を深められます。

  1. タグラインやキャッチコピー
  2. リードコピー
  3. ボディコピー

「タグラインやキャッチコピー」は、企業やブランドの世界観や社風を一言で表現し、注目を集める役割を果たします。その後に続くのが「リードコピー」で、読者の疑問や期待を高めながら、ボディコピーへと自然につなげる橋渡し役となります。そして「ボディコピー」は、商品やサービスの魅力や特徴について、具体的かつ丁寧に説明する文章です。
これらの3つのコピーは、読者の関心を自然に深めていけるように、一貫したメッセージと流れを意識することが大切です。このような構成を意識したコピーを発信することにより、ブランドのメッセージをより効果的に届けることができます。

ブランディングにおけるコピーの種類と役割を説明する図

ブランディングデザインを成功させるためのポイント

ブランディングデザインを成功に導くためには、次の3つのポイントを押さえることが大切です。

  • ブランドコンセプトを明確化する
  • ターゲットやキーワードを設定する
  • デザイン案を言語化し作成する

ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

ブランドコンセプトを明確化する

ブランディングデザインの第一歩は、ブランドコンセプトの明確化です。生活者や顧客に対してどのような価値を提供し、どのような印象を持ってもらいたいのかといった、ブランドの核となる想いや目的を的確に言語化します。
ブランドコンセプトは端的でわかりやすいほど独自性が際立ち、より強い印象を残せます。また、ブランドが大切にする信念や価値観を軸にブランドアイデンティティを構築したり、背景や想いを語るブランドストーリーを加えたりすることで、メッセージ性が高まり、顧客の共感を呼ぶブランドコンセプトに仕上げることが可能です。

ターゲットやキーワードを設定する

ブランドを効果的に浸透させるには「誰に届けたいのか」を明確に設定することが重要です。例えば、生活者であれば、年齢や性別、職業、ライフスタイル、価値観、家族構成など、B2Bであれば、部門や役職、具体的な役割など、ターゲットとなる人物像を具体的に描くことで、マーケティング戦略や訴求方法がはっきりしてきます。
さらに、設定したペルソナやブランドコンセプトに基づいて、ブランドを象徴するキーワードを選定します。これらのキーワードは、デザインの方向性を定めるうえでも重要な指針となります。

デザイン案を言語化し作成する

ブランドコンセプトやターゲット、キーワードが定まったら、それらに基づき、ロゴやカラー、フォント、商品パッケージ、グラフィック、動画、コピーなどの具体的なデザインを制作していきます。このとき、デザイナーが意図を正確に理解し、的確に表現できるように、デザイン案の方向性をあらかじめ言語化して共有することが重要です。イメージ画像を用意するのも良いでしょう。
さらに、独自性を高めるために、競合と差別化できているかを定期的に確認し、デザイナーと密にコミュニケーションを取りながら進めることで、よりブランドの世界観に合ったブランディングデザインを作成できます。

企業のブランディングデザインの成功事例

ブランディングデザインが成功すると、認知度や売上の向上に大きく貢献します。ここからは、企業の成功事例を3つ紹介します。

Lego

Legoは、鮮やかで明るい色合いのロゴとカラーパレットを採用することで、親しみやすく楽しいブランドイメージを確立しています。そのデザインから伝わるように、レゴが強調しているのは「想像する楽しさ」です。
遊びを通じて子どもたちの想像力や創造力を育み、実生活に役立てられるような工夫がされています。また、人気キャラクターや映画とのコラボレーションにより、子どもだけでなく大人まで、幅広い顧客に響くブランディングを実現し、Legoのブランドイメージがさらに強化されています。

参照:レゴ社の約束 | レゴ®デュプロ | LEGO.com |レゴ®ショップ公式オンラインストアJP

今治タオル

今治タオルは、愛媛県今治市で生まれた日本を代表するタオルブランドです。一時は海外の安価な商品に押されていましたが、2007年頃から今治タオル工業組合が中心となり「伝統」と「品質」というコンセプトを前面に押し出すブランディングを展開したことで、「今治タオル」という名前そのものが信頼の象徴として広く認知されるようになりました。
ブランドロゴに用いられている赤・青・白はそれぞれ、情熱・安全・やさしさなどを象徴しており、今治タオルが持つ歴史や高品質、そして無限の可能性を表現しています。

参照:今治タオルとは – 今治タオル公式ブランドサイト | JAPANブランド 今治タオルプロジェクト

BIPROGY

BIPROGYは、かつて「日本ユニシス」として日本初の商用コンピューターを提供し、60年以上にわたり社会や産業を支えるシステム構築に貢献してきた企業です。コーポレートブランドの刷新に伴い、会社名(商号)を「BIPROGY 株式会社(ビプロジーカブシキガイシャ、英語表記:BIPROGY Inc.)」へと改称しました。
BIPROGYという名称は、光が屈折や反射によって生まれる7色(Blue・Indigo・Purple・Red・Orange・Green・Yellow)の頭文字を組み合わせた造語で、「すべての人たちがもつ光を掛け合わせ、希望ある未来に導く社会的価値創出企業へ」という想いが込められています。

参照:コーポレートブランド | 企業情報 | BIPROGY株式会社

ブランドイメージの形成、浸透につなげるブランディングデザインを

ブランディングデザインは、企業や商品のイメージや理念、世界観を視覚的に表現し、認知度の向上とともに競合との差別化を図ることを目的としています。ブランドのコンセプトやターゲットを明確にし、視覚的に伝えることで、ターゲット顧客や生活者の心に響くブランディングデザインを生み出すことが可能です。
しかし、こうした戦略を実践に落とし込み、成果に結びつけるためには、専門的な視点と豊富なノウハウが必要です。


エンビジョンでは、企業の価値を最大限引き出すためのブランディングデザインの構築を、立案から実行まで一貫で支援しています。成長を支えるパートナーとして、皆様の「ありたい姿」の実現をサポートいたしますので、お気軽にお問い合わせください。